ブッシュ 孝子。 「詩を書くってどんなこと?」若松英輔

決して詩壇に名をはせた存在ではない。

絶望の淵にあった孝子を救ったのは、留学先で知り合ったドイツ人男性、ス・ブッシュでした。

以下、ノートをば。 11月に病の再発で入院し、詩作を続けたものの、翌年1月、28歳で亡くなった。 詩を書くことは、そうしたことが、思い込みに過ぎないことを教えてくれます。 生前に娘が語った言葉を、和子さんは覚えている。 ーーー新泉社 紹介文ーーー 誰でも、年齢を重ねれば危機と呼ぶべき時節に至る。 書くことすら、どこかで諦めていたかもしれない。
84
その詩は合唱曲になったり、雑誌で取り上げられたりもしたが、詩集は絶版となり、やがて日の目を見ない時間が続いた 書くことすら、どこかで諦めているかもしれない
(pp. だが、苦しみを真に感じるのは、もう一つの苦しむ心である そのようにして言葉が新たな命を吹き込まれて人間を動かし、静かな波動として広がってゆくことがある
それは、孝子の亡くなる2週間前まで、続きました 苦しみも悲しみも、きわまったとき人は、他者にそれを伝えることすらできなくなる
亡くなる前年の深まる秋の夜に生まれた詩編だ それは「私」を介して届けられる〈無言歌〉というべきものだ
誰でも、年齢を重ねれば危機と呼ぶべき時節に至る 服部(旧姓)孝子はお茶の水女子大学大学院で児童心理学を学び、ドイツに渡った
72